新年のご挨拶と「平和とフラストレーション」

 

 

ちょうど、昨年の今日1月16日は、片山工房や僕にとってとても意味のある日となった。

兵庫津ミュージアムにて、天皇皇后両陛下との懇談が開かれた。

今だから話せることだが、その年の夏に一報の電話が入った。

天皇皇后両陛下に医療福祉そしてアートの代表として懇談をしていただきたい、

そして僕の震災体験を話してほしいと、すぐには快諾出来なかったが、腹を括った。

 

両陛下の懇談のタイトルを求められ、僕が打ち出したタイトルが、「フラットな社会へ」

震災の2日後から始まった、暗く寒い学校の避難所生活での炊き出し、

いろんな身なりの人が「同じものを食し・生きると言う同じ目標を持って・そして皆が同じ不安を抱え」

立つ足元は皆同じ地平線からのスタートとなった。肩書きのない明日が生まれた。

人として、生きるとはを否応なしにも考え教えられた。

 

両陛下に当日、その僕の思いをお伝えし、

天皇陛下から「避難所ではご苦労されましたね、寂しくはなかったですか」とお言葉を頂いた。

皆が居るので寂しくはなかったですが、明日が見えない不安を抱えておりましたと返答をした。

そばでそっと皇后陛下が頷かれた。

 

社会は皆強弱あれば、立場もあり、経験も違う、ただお互いの目線はフラットであることから、

本当の物事が始まると思いますとお伝えし、

天皇陛下がグッと目を見て口を強く横にした。

 

そして、松浦愛夢さんのコウノトリの作品をご高覧され、

皇后陛下から、「この力強い作品を作れる場をこのままずっと続けられてください」とお言葉を頂いた。

僕は、深く一礼をした。

そんな朧げな記憶が今一年の時を経て思い出した。

大変貴重な時間だった、時空が歪んで見えるほど、時が止まっていた。

 

 

 

片山工房は23年続いている。

危機は何度もあった。その時にいろいろな事柄を徹底的に考えた。

最悪の状態も想定しながら、答えは一つではなかった。

白黒はっきりできるものは一つとしてなく、常に中庸思想が僕を支えた。

それが起こるまで考えないことも身につけた。

これからも困難は続くだろうが、平和だけではものは考えられなくなる。

 

常に、悪に蓋をしない程度の正しさと、清らかさ、そして美しさを持って進みたい。

リスクを取るしかない、それが生きがいとなることを知っているから、

怒りや悲しみの中でしかより良い感覚は産まれない、

厳しい表現だが、自分は常にフラストレーションを担保することが、

ある意味正しく進めるのではないだろうか、これから出会う人誰に対してもフラットな目線で接したい。

 

そこから真の本音が生まれ、必要な想像と創造的な開拓となることを信じて、

僕が伝えた両陛下に対しての言葉を生涯背負って行くことが、

発言した人生最大の重みである。

 

今年も、地道に進むしかない。いろいろな職種や年齢差に関係なく、大いに伝えようと思う。

プライドが邪魔しない程度の誇りを持って、かすかな声に耳を傾け、曇り空でも明るい日々を造りたい。

 

僕は道を間違わず、照らすことができるだろうか、何を想像し実現できるだろうか。

自分の思う、社会の課題を自分の糧として表現発信することに専念する。

過去は過去のこと、次の界に向かいます。

 

本年もみなさまにとって良い一年でありますよう、

引き続き僕たちをどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

特定非営利活動法人100年福祉会 片山工房 理事長

新川修平